このトピックでは、SAP ERPシステムのデータモデルを取り上げて説明します。
SAP ECCシステムは、企業で行う基幹業務のすべてを発生ベース(伝票処理)で1つのデータベース(大福帳型データベース)に一元管理する設計により、基幹業務全体を統合的に管理します。特に、受注・販売・生産などの業務における個別処理が、入力時点で即時に会計情報として反映され、参照することができることが大きな特徴となっています。1つの伝票処理(トランザクション)によって、すべての部門の情報が一度に変更され、それらが要約された会計情報は、その内容の詳細を辿っていく(ドリルダウン)ことで、業務情報のそれぞれのトランザクション(伝票)1つ1つへ結び付けることができます。
大福帳型データベースとは、発生したトランザクション・データを要約せずにそのまま蓄積していくタイプのデータベースシステムのことです。
大福帳型データベースによって、財務諸表などの要約されたデータから逆にたどり、1枚の伝票(トランザクション・データ)にたどりつくことができます。(これをドリルダウンする、と呼びます)
生データをそのまま記録しておくことで、いつ誰によって入力・処理されたかが分かるので、時系列的に経営活動を把握し、また何かの問題が発生した場合に原因追及が容易になる、と言われています。 「one fact in one place」原則のもとに全基幹業務にわたり一元的な情報管理が実現されます。